■ パスタ・カーボローディング講座 第10回 - 管理栄養士・関根豊子先生 -


前回は、鉄分たっぷりの菜の花とアサリのボンゴレを紹介しましたが、ランナーに欠かせない栄養素の1つが鉄です。体内の鉄が不足し、赤血球が減少した状態を「貧血」といいますが、貧血になると、一般的には疲れやすい・動悸がする・息が切れるなどの症状が出てきます。これは、体内の鉄が体の隅々に酸素を運ぶという役割を持っているためです。ですから、有酸素運動能力、つまりスタミナにも大きく影響します。貧血の症状として、ランナーの場合は上記以外に、トレーニングがこなせない・タイムが伸びないといったことがしばしば起こります。

貧血の原因の多くは鉄欠乏です。ランナーの場合は、特にスポーツをしていない人と比べ、身体からの要求量が高まっていることや、スリムな体形を保つために食事量を減らし、鉄の摂取量が少なくなってしまっていることなどから、鉄欠乏に陥っているパターンが多いようです。また、貧血と診断されなくても、その一歩手前、鉄欠乏性貧血の予備軍に入るランナーも多く見られます。赤血球の寿命は120日ほど。貧血の改善にも同じくらい時間がかかると考えて、早め早めの対応と予防を心がけましょう。

貧血の予防には、赤血球の材料となる鉄の摂取が不可欠です。鉄を多く含む食材といえば、レバー・ひじき・ほうれん草。他には、赤身の肉(モモやヒレなど脂肪の少ない部位の牛・豚肉)、赤身の魚(マグロやカツオなど)、貝類(シジミ・アサリなど)、ほうれん草以外の緑の野菜、卵や大豆・大豆製品なども鉄の摂取が期待できる食品です。たまにしか食べないレバーよりも、食べる手間がかからず食べる回数が多い卵や納豆のほうが、鉄の給源として期待できるかも知れませんね。

合わせて、吸収率についても知っておくとよいでしょう。肉・魚に含まれる一部の鉄はヘム鉄と呼ばれ、比較的高い吸収率を示します。
そのほかの食品に含まれる鉄、私たちが摂っている鉄分のほとんどは、吸収率の低い非ヘム鉄(ヘム鉄の1/3~1/2)という形をしています。
でも安心してください。非ヘム鉄もたんぱく質やビタミンCを一緒に摂ると吸収率が高まるのです。
ですから毎日の食事では、肉や魚、卵などを使った主菜を摂ること、緑の野菜や海藻を使った副菜を摂ること、デザートを食べるなら果物を選ぶことなどに気をつけると良いでしょう。

参考までに、鉄の食事摂取基準について、下表に示します。必要量が多くなる競技選手の場合は、推奨量の1.5倍を目安にするとよいでしょう。ただし、鉄は過剰症も起こり得る栄養素ですので、上限値を長期間上回るような摂取は避けるべきです。

表 鉄の食事摂取基準(mg/日)

性別 男性 女性
年齢 推奨量 上限量 月経なし 月経あり 上限量
推奨量 推奨量
18 ~ 29 (歳) 7.5 3 50 6.5 3 10.5 3 40
30 ~ 49 (歳) 7.5 55 6.5 10.5 40
50 ~ 69 (歳) 7.5 50 6.5 10.5 45
70 以上(歳) 6.5 45 6.0 - 40

(日本人の食事摂取基準2005より)