■ パスタ・カーボローディング講座 第8回 - 管理栄養士・関根豊子先生 -


この冬も各地でレースが開催されましたが、皆さん、思い通りの成績を残せましたでしょうか? 前回までのパスタ・カーボローディング講座が「とても役立った!」と言っていただけるとうれしいです。でも中には「練習が足りなくていまいち…」という方もいらっしゃるかもしれません。やはり、スポーツは普段の練習が一番大事なのですね。

食事面でもそれは同じことです。どんなにレース直前の食事を整えてみても、普段の食事がおろそかでは、十分な練習をするためのエネルギーが足りない、また消費したエネルギーをしっかり回復できないなど、練習の成果を上げることが出来ません。やはり毎日の食事でしっかりと炭水化物を摂っておくこと、普段からのカーボローディングが必要なのです。

さらに、炭水化物の不足は、体力のスタミナ切れだけでなく、思考能力の低下も招いてしまいます。というのも、脳はエネルギーとして糖質しか利用できないからです。第1回の講座でも述べたように、体に蓄えられるグリコーゲンには限りがあります。特に肝臓に蓄えられて血糖として利用されるグリコーゲンは、睡眠時間中に消費されてしまうくらいの量しかありません。これが最近盛んに「朝ごはんをしっかり食べよう」といわれる所以です。練習中はもちろん、勉強や仕事での冷静な状況判断をするための役割も、炭水化物にはあるのです。

さて、レース本番に向けては、摂取エネルギー全体の70%以上を炭水化物で摂取するカーボローディング法をご紹介しました。では普段は、どのくらいに設定すればよいのでしょうか? 「日本人の食事摂取基準2005」では、総エネルギーに占める炭水化物からのエネルギー割合を50~70%とするよう目標量を定めています。(下表参照)

これは、目安となるエネルギー量の半分(50%)を主食で摂るようにすれば、あとはおかずとなる野菜類や調味料類に含まれる糖質でクリアできる数値です。イメージとしては、“主食たっぷり、おかずは控えめ”といった感じでしょうか。

具体的な分量は以下のように考えるとよいでしょう。

1食あたりの主食の目安量

ご飯の場合 1日に摂りたいエネルギーの1/10 g
パスタの場合 上記の0.4倍

例;1日に摂りたいエネルギー量が2000kcalの場合

1食あたり ご飯なら200g パスタなら80g

しかし、ここに述べた分量は1食あたりの平均です。現実的には、朝は軽め・夜はしっかりという食事パターンが多いことと思いますので、朝食の主食を少なめにし、減らした分を夕食に摂るようにしてもよいでしょう。

例;1日に摂りたいエネルギー量が2000kcalの場合

朝食 ご飯150g (または パスタ60g)
昼食 ご飯200g (または パスタ80g)
夕食 ご飯250g (または パスタ100g)

また、補食として、練習の前後に振り分けることもお勧めです。ご自分の練習パターンに合わせて取り入れるようにしてみてください。

例;1日に摂りたいエネルギー量が2000kcalの場合

朝食 ご飯150g (または パスタ60g)
昼食 ご飯150g (または パスタ60g)
補食 ご飯100g (または パスタ40g)
夕食 ご飯200g (または パスタ80g)

毎日の練習、仕事、勉強を効率よくこなすためにも、普段の食生活からカーボローディングを意識してみませんか。



表 エネルギーおよび炭水化物の食事摂取基準
推定エネルギー必要量( kcal/ 日)
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い 低い ふつう 高い
18 ~ 29( 歳 ) 2,300 2,650 3,050 1,750 2,050 2,350
30 ~ 49( 歳 ) 2,250 2,650 3,050 1,700 2,000 2,300
50 ~ 69( 歳 ) 2,050 2,400 2,750 1,650 1,950 2,200
炭水化物の食事摂取基準(総エネルギーの 50 ~ 70 %量  g )
性別 男性 女性
身体活動レベル 低い ふつう 高い 低い ふつう 高い
18 ~ 29( 歳 ) 288 ~ 403 331 ~ 464 381 ~ 534 219 ~ 306 256 ~ 411 294 ~ 411
30 ~ 49( 歳 ) 281 ~ 394 331 ~ 464 381 ~ 534 213 ~ 298 250 ~ 350 288 ~ 403
50 ~ 69( 歳 ) 256 ~ 359 300 ~ 420 344 ~ 481 206 ~ 289 244 ~ 341 275 ~ 385

※ 各身体活動レベルの活動内容

身体活動レベル 低い ふつう 高い
日常生活の内容 生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事、 軽いスポーツ 等のいずれかを含む場合 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における 活発な運動習慣 をもっている場合

  日本人の食事摂取基準(2005年版)より